自分文化

すきなことの寄せ集め。少年よ大志を抱け。

屋根より高い竹とんぼ

今週のお題「お父さん」

 

 

 

 父との思い出を振り返れば割とあるということは、仕事で忙しいながらも休みの日や行事など子供との時間を大切にしてくれてたんだな~と改めて思う。

 

 

 幼い頃、平日は父と一緒に食卓を囲った記憶があまりない。

仕事が忙しく夜みんなが寝静まった頃に帰宅することが多かったり、朝家を出るのが早かったからだ。

 ほとんど顔を合わせることがなかったが、休日は一緒に公園へ遊びに出かけてくれたり、遠くへドライブしたり、ドライブはお母さんがいないときには必ず助手席へ座って父の眺める景色を一緒に見たり、父のゲームする姿を見てやってみたい!といったらお前はまだ早すぎるとやらせてくれなかったり、ラーメンやチャーハンを作ってくれたり、学校の行事なんかは休みを取ってくれていつも見に来てくれた。それがうれしくて、かけっこなんかは頑張ったものだ。大変な生活だったと思う。

 

 父との思い出として強く深く印象に残っているものがある。

 学校の行事で親子でものづくり体験をしたときのことだ。事前に何を作りたいのかを選んでおき、体育館で各ものづくりごとに分かれて体験できる。私は、竹とんぼ作りを選んでいた。周りはお母さんが多い中で、私には父がいた。ちょっと恥ずかしかったのを覚えている。幼い妹もいるので、「こういうの、お父さん得意だから」と、母は父にお願いしたのである。とんぼのプロペラ部分の竹を一緒に一生懸命削った。「ここは厚みがあると重たくなって遠くへ飛ばなくなるから、なるべく薄くするんだよ。」私は、疲れて「もうこれでいいんじゃない?だめかな?」とぶつくさ言ったのだが、父は「いや、まだだ。まだ薄くできる。」と私より真剣に取り組んでいて思わず笑ってしまった。時間いっぱい使ってギリギリまで薄くして、やすりできれいに研磨してようやくできたときふたりして大喜びだった。「じゃあ、みんなで飛ばしてみましょう」と外部のスタッフの人が言って、みんなで一斉に飛ばした。父と私で作った竹とんぼが誰よりも遠く、高く、飛んでいった。みんな「すげー!」って言っているのが聞こえ、私と父は顔を見合わせ笑った。私は得意気になったし父も満足そうだった。思えばこの日初めて、父と心を通わせることができたのかもしれない。この日の映像は今でも鮮明に覚えている。

 

 

こういう気持ちとか感動を大切に、忘れずに生きていきたいなと思う。